富岡多惠子とは？：87歳で逝去した女性作家の軌跡と、その文学的影響とは？戦後日本を代表する女性作家、富岡多惠子の文学とフェミニズム批評

富岡多惠子の生涯と作品、フェミニズム批評との関わりについて、章ごとに掘り下げてご紹介していきます。

富岡多惠子の黎明期：言葉と表現への目覚め

富岡多恵子の黎明期、詩人としての出発とH氏賞受賞、小説家への転身、そして数々の文学賞受賞について解説します。

彼女の言葉への目覚めと表現への探求を見ていきましょう。

作家の富岡多惠子さん死去 「冥途の家族」「西鶴の感情」：朝日新聞

公開日:2023/05/08

✅ 詩、小説、評論など幅広い分野で活躍した戦後日本を代表する女性作家、富岡多惠子さんが老衰のため87歳で死去しました。

✅ 代表作には小説「冥途の家族」「立切れ」「西鶴の感情」などがあり、フェミニズムの観点からの発言や、「男流文学論」などの共著も手掛けました。

✅ 大学在学中に詩集でH氏賞を受賞し、映画のシナリオ執筆や、野間文芸賞、日本芸術院賞、伊藤整文学賞、大佛次郎賞など数々の賞を受賞しました。

さらに読む ⇒朝日新聞デジタル：朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/ASR4B41T3R4BUCVL013.html

富岡多恵子さんのご逝去は非常に残念です。

詩人としての出発から小説家としての成功まで、その才能は多岐にわたっていました。

数々の賞の受賞歴も素晴らしいですね。

1935年に生まれた富岡多惠子は、詩人として出発し、詩集『返禮』でH氏賞、詩集『物語の明くる日』で室生犀星詩人賞を受賞。

その後小説家へと転じ、数々の文学賞を受賞する。

1980年代は、女性作家を「女流」と呼ぶことへの批判が高まり、富岡は朝日新聞の文芸時評を担当し、その言葉への違和感を表明。

彼女の活動は、日本の文学批評における男性中心の視点に異議を唱え、フェミニズム批評の勃興を促す。

同時期に、彼女は新たな活動への決意を固め、遠方に家を購入し、引っ越しを決意。

大変興味深いお話でした。一つの分野に留まらず、様々な表現方法で才能を発揮された富岡多惠子さんの生き方は、私自身も色々な可能性を模索する上で大変刺激になります。

『男流文学論』とフェミニズム批評の台頭

富岡多惠子の代表作の一つである『男流文学論』を中心に、フェミニズム批評の台頭と富岡の活動について解説します。

彼女の思想がどのように文壇に影響を与えたのかを探ります。

第14回】『男流文学論』誕生 富岡多惠子の革命

公開日:2025/04/22

✅ 富岡多惠子の生涯と、彼女の「男流文学論」が文壇に与えた影響について、周辺の出来事や関係者の証言を通じて解説しています。

✅ 1980年代のフェミニズム台頭期、男女雇用機会均等法の施行やアグネス論争などを背景に、富岡多惠子が男性作家の作品を読み直す読書会を企画し、それが『男流文学論』へと繋がっていきました。

✅ 「女流」という表現が内包する問題点を指摘し、富岡多惠子を含む多くの女性作家がその表現に不快感を示していたことが、イルメラ日地谷キルシュネライトのインタビューと著作から明らかになっています。

さらに読む ⇒婦人公論.jp｜芸能、事件、体験告白……知りたいニュースがここに！出典/画像元: https://fujinkoron.jp/articles/-/16145?display=full

『男流文学論』が文壇に与えた影響は非常に大きかったことが分かります。

それまでの「女流」という言葉に対する違和感を表明した富岡さんの勇気は、称賛に値しますね。

1980年代、ウーマンリブからフェミニズムへと社会的な関心が移り変わり、男女雇用機会均等法が施行される中で、富岡は男性作家の作品を読み直す読書会を企画。

これが、筑摩書房の藤本由香里によって『男流文学論』へと繋がる。

この論考は「女流」という言葉の持つ性差別を批判し、文壇に大きな波紋を呼ぶ。

女性作家へのインタビュー集『〈女流放談〉昭和を生きた女性作家たち』には富岡自身は収録されなかったが、多くの女性作家が「女流」という表現への不快感を表明。

富岡の思想は、その後のフェミニズムの隆盛に繋がった。

「女流」という言葉の持つ意味を深く考えさせられました。固定観念にとらわれず、本質を見抜く姿勢を見習いたいと思います。富岡さんの慧眼に感銘を受けました。