アニッシュ・カプーアの作品世界とは?巨大彫刻と虚空の探求アニッシュ・カプーア:巨大彫刻が織りなす空間体験と社会への問いかけ
ムンバイ出身、ロンドンを拠点とする現代彫刻家、アニッシュ・カプーア。巨大彫刻で知られる彼の作品は、視覚と知覚を刺激し、鑑賞者を独特の空間体験へと誘う。代表作《クラウド・ゲート》や、世界最黒の物質「ベンタブラック」を用いた作品は、物質と非物質、リアリティの本質を問いかける。社会問題にも目を向け、人類への問いかけを続けるカプーアの、奥深い世界観に触れて。
💡 アニッシュ・カプーアは、巨大彫刻で知られる現代美術家。代表作「クラウド・ゲート」はシカゴのランドマーク。
💡 彼の作品は、空虚や光の反射を利用し、観る者の知覚を刺激。素材への探求も特徴的。
💡 社会問題にも関心を示し、作品を通して人々に問いかけ。国際的な評価も高い。
それでは、アニッシュ・カプーアの芸術の軌跡を辿りながら、作品が持つ魅力と社会的な意味について見ていきましょう。
まずは、彼の初期作品と、その後のブレイクスルーについてご紹介します。
アニッシュ・カプーアの初期とブレイクスルー
アニッシュ・カプーアの代表作は?
「1000の名前」
本日は、アニッシュ・カプーアの芸術世界について、深く掘り下げていきます。

✅ アニッシュ・カプーアは、インド生まれの現代彫刻家であり、「ニュー・ブリティッシュ・スカルプチャー」と呼ばれるグループの代表的作家です。
✅ 彼は、ステンレスや石などの素材を使い、光が反射する巨大な彫刻作品を制作することで知られています。代表作には、シカゴのミレニアム・パークにある「クラウド・ゲート」や、ロンドンのテート・モダンにある「マルシュアス」などがあります。
✅ カプーアは世界各国で個展を開催しており、日本でも2018年に別府市で「アニッシュ・カプーア IN 別府」という展覧会が開催されました。
さらに読む ⇒(アートニュースジャパン)出典/画像元: https://artnewsjapan.com/article/562初期には鮮やかな顔料を使った作品で注目を集め、その後、ステンレスや漆といった素材を取り入れ、表現の幅を広げました。
1991年にはターナー賞を受賞し、その地位を確立しましたね。
アニッシュ・カプーアは、インドのムンバイ出身の現代彫刻家で、現在はロンドンを拠点として活動しています。
彼は、1970年代にロンドンへ渡り、美術学校で学び始めました。
1979年にインドを旅行した際、ヒンドゥー教の世界観に触れたことをきっかけに、寺院などで目にした鮮やかな粉末顔料を使い始め、代表作の一つである《1000の名前》(1979-80)を発表しました。
これにより、1980年代初頭のイギリス彫刻界を代表する「ニュー・ブリティッシュ・スカルプチャー」の一人として活躍するようになりました。
その後、ステンレス、漆といった素材を作品に取り入れ、「湾曲」をキーワードに視覚や知覚を刺激する多様な表現を展開しています。
1991年にはターナー賞を受賞し、彫刻家としての地位を確固たるものにしました。
アニッシュ・カプーアさんの作品は、インドでの経験が大きな影響を与えているんですね。初期の作品と、その後の素材への挑戦、とても興味深いです。知的好奇心が刺激されます!
巨大彫刻による空間体験
カプーアの彫刻の最大の特徴は?
スケール重視
シカゴのミレニアム・パークにある「クラウド・ゲート」は、本当に圧巻ですね。
都市空間にパブリックアートが設置されることで、街全体の魅力が向上する好例だと思います。

✅ アニッシュ・カプーアによる彫刻「クラウド・ゲート」は、シカゴのミレニアム・パークに設置された、巨大な豆型の彫刻です。その曲線美はシカゴのスカイラインと対照的で、観光客に人気のあるスポットとなっています。
✅ 「クラウド・ゲート」は、シカゴが都市空間にパブリックアートを設置してきた伝統を受け継ぐ作品であり、カプーアにとって初のアメリカでのパブリックアート作品です。当初、彫刻の表面には継ぎ目が目立つ問題がありましたが、磨き直され、現在では完璧な鏡面仕上げとなっています。
✅ 「クラウド・ゲート」は、個人や企業からの寄付によって建設され、その建設費は当初予定の約6億円から最終的に23億円まで膨れ上がりました。この作品は、アメリカの寄付文化を象徴する存在であり、シカゴの魅力的なパブリックアートとして親しまれています。
さらに読む ⇒クラウド・ゲート«法人アート&ソサイエティ研究センター出典/画像元: https://www.art-society.com/research/cloud-gate%E3%80%80%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%88.html「クラウド・ゲート」は、見る角度によって様々な表情を見せるのが面白いですね。
建設費が当初の予定より大幅に膨れ上がったという話も、アメリカの寄付文化を象徴しているようで興味深いです。
カプーアは、作品を通して「スケール」を重視し、奇抜な巨大彫像を次々に発表しています。
シカゴのミレニアム・パークに設置された《クラウド・ゲート》(2004-06)は、その代表例の一つです。
この作品は、曲面への光の反射や景色の映り込みの効果によって、平面の肌触りが多次元のものへと変化し、見る人の視覚と知覚に働きかけます。
また、カプーアは、ロンドン・オリンピックの記念塔《オービット》(高さ115メートル)のデザインも手がけ、現在建設が進んでいます。
カプーアは、スケールの大きい作品を通して、観客が作品と対峙し、作品全体を体験できるような空間を作り出しています。
巨大な彫刻が都市空間に与える影響について、とてもよくわかりました。作品を通して、人々の視覚や知覚に訴えかける力強さが素晴らしいですね。
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カプーア、虚空を問い、感情揺さぶる。最新作で物質と非物質を探求。社会問題にも向き合い、知覚空間を揺さぶる、国際的アーティスト。