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精神的ストレスと心身への影響とは?腸と脳の最新研究から見えるものとは?うつ病、IBS、神経新生、腸内環境… 精神的ストレスが及ぼす多様な影響とは

精神的ストレスがあなたの心と腸に及ぼす影響とは? 最新の研究で、IBS(過敏性腸症候群)と鬱病の発症メカニズムに迫ります。ストレスが腸内環境を悪化させ、脳の神経細胞にダメージを与える可能性を解明。抗うつ薬が神経細胞を回復させる効果も明らかに。心と体の健康は繋がっている! 新たな治療法開発に期待。

精神的ストレスと心身への影響とは?腸と脳の最新研究から見えるものとは?うつ病、IBS、神経新生、腸内環境… 精神的ストレスが及ぼす多様な影響とは

📘 この記事で分かる事!

💡 精神的ストレスは、下痢型IBS(過敏性腸症候群)様の症状を引き起こす可能性がある。

💡 精神的ストレスは、海馬における神経新生を抑制し、うつ病の発症に関与する。

💡 精神的ストレスは、腸内環境を悪化させ、うつ病の発症を促進する可能性がある。

今回の記事では、近年の研究から明らかになった、精神的ストレスが心身に及ぼす様々な影響について、具体的にご紹介していきます。

まずは、この記事で皆さんにお伝えしたい3つのポイントをお伝えします。

精神的ストレスとIBSの関係 cVSDSモデルマウスを用いた研究

精神的ストレスがIBSにどう影響するか?

腸の運動亢進と痛み

それでは、最初のテーマであるIBSと精神的ストレスの関係について見ていきましょう。

マウスも精神的ストレスで過敏性腸症候群様の症状を示す~過敏性腸症候群のモデル動物としての役割に期待~
マウスも精神的ストレスで過敏性腸症候群様の症状を示す~過敏性腸症候群のモデル動物としての役割に期待~

✅ 本研究では、精神的ストレスを繰り返し与えた「代理社会的敗北ストレスモデルマウス」が、腸内に組織学的異常がないにもかかわらず、下痢型IBS様症状を示すことを発見しました。

✅ このモデルマウスは、精神的ストレスのみによって誘発されるIBSのモデル動物となり、病態解明や治療薬開発に貢献すると期待されています。

✅ 従来のIBSモデル動物では、身体的ストレスの影響や腸内の組織学的変化がみられたため、IBSの病態を再現したものとはなっていませんでした。しかし、本研究では、精神的ストレスのみによって誘発されるIBSのモデル動物が開発されたため、今後の研究の進展が期待されます。

さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.tus.ac.jp/today/archive/20221104_7117.html

この研究結果から、精神的ストレスがIBSの発症に深く関わっていることが示唆されます。

今後の治療法開発に繋がる可能性に期待です。

過敏性腸症候群(IBS)は、腸に炎症などの原因となる病気がないにもかかわらず、精神的ストレスによって下痢や腹痛などの慢性的な消化器症状を示す疾患です。

IBSの根本的な治療法はまだ確立されていません。

本研究では、精神的ストレスを繰り返し与えられた「代理社会的敗北ストレス(cVSDS)モデルマウス」がIBSのモデル動物となりうることを発見しました。

cVSDSモデルマウスは、腸に組織学的異常がないにもかかわらず、腸のぜん動運動の亢進と内臓痛関連行動の増加を示しました

これは、下痢型IBSの症状と類似しています。

このモデルマウスを用いることで、IBSの病態解明と治療薬開発が進むと期待されます。

なるほど、精神的ストレスだけでIBSのような症状が現れるんですね。精神的な面が身体に影響を与えるって、本当に興味深いです!

精神的ストレスと神経新生 cVSDSモデルマウスを用いたうつ病研究

精神的ストレスは脳の神経細胞にどんな影響を与えるの?

神経細胞生存率低下

続いて、うつ病と精神的ストレス、そして神経新生の関係について見ていきましょう。

阻害タンパク質は成体の海馬におけるニューロンの新生を神経活動に依存して制御しているライフサイエンス新着論文レビュー
阻害タンパク質は成体の海馬におけるニューロンの新生を神経活動に依存して制御しているライフサイエンス新着論文レビュー

✅ sFRP3は、成体の海馬におけるニューロンの新生を抑制的に制御する分泌性のWnt阻害タンパク質である。

✅ sFRP3を欠損させると、海馬の放射状グリア細胞が活性化し、新生ニューロンの成熟、樹状突起の伸長、シナプス棘突起の形成が促進される。

✅ 神経活動によるニューロンの新生活性化にはsFRP3の発現量の低下が必須であり、sFRP3は神経回路の活動性を伝達する重要なタンパク質である。

さらに読む ⇒ライフサイエンス新着論文レビュー出典/画像元: https://first.lifesciencedb.jp/archives/6608

この研究は、精神的ストレスが神経新生に与える影響を初めて示したもので、画期的ですね。

抗うつ薬の効果も検証されている点も興味深いです。

本研究では、代理社会的敗北ストレス(cVSDS)モデルマウスを用いて、精神的ストレスが海馬歯状回における新生神経細胞の生存率を大幅に低下させることを明らかにしました。

これは、精神的ストレスのみが神経新生に影響することを示す世界初の報告であり、うつ病の発症メカニズム解明と新たな抗うつ薬開発への貢献が期待されます

従来のうつ病モデルである社会的敗北ストレス(cSDS)モデルは、マウス同士の直接的な接触を伴うため、身体的ストレスの影響を排除することが困難でした。

本研究ではcVSDSモデルを用いることで、精神的ストレスのみを付与し、その影響を詳細に調査しました。

その結果、cVSDSモデルマウスでは、海馬歯状回の新生神経細胞の生存率が大幅に低下することが明らかになりました。

この低下は、精神的ストレス負荷後4週間持続し、社会的回避行動の悪化とも関連していました。

さらに、抗うつ薬フルオキセチンを慢性的に投与した結果、神経細胞生存率の上昇と社会的回避行動の改善が確認されました。

これらの成果は、精神的ストレスがうつ病の発症に大きく関与していることを示唆し、新たな治療戦略の開発に役立つ可能性を秘めています。

精神的ストレスが脳の神経新生にまで影響を与えるとは驚きです。抗うつ薬の効果が確認されたことも、希望が持てますね。

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