ストレスと遺伝？世代を超えた影響とは？（多因子疾患、エピジェネティクス）ストレスの影響は子孫に受け継がれる？

それでは、多因子疾患の複雑さについて詳しく見ていきましょう。

多因子疾患の複雑さ

多因子疾患の遺伝的要因と、環境要因の関わりについて解説しました。

多因子疾患とは何でしょうか？

公開日:2022/05/09

✅ 多くの病気や症状は遺伝的要因が関わっており、心臓病や糖尿病などの多因子疾患は複数の遺伝子と生活習慣や環境要因の組み合わせで発症する。

✅ 多因子疾患は家族内で発生しやすいが、明確な遺伝パターンがなく、環境やライフスタイルの影響も大きいため、遺伝リスクの特定は困難である。

✅ 多因子疾患の原因は不明な点が多く、研究や治療が難航しているため、研究者たちは主要な遺伝子の探索を続けている。

さらに読む ⇒遺伝性疾患プラス遺伝性疾患プラス出典/画像元: https://genetics.qlife.jp/tutorials/Variants-and-Health/What-are-complex-or-multifactorial-disorders

多因子疾患は、生活習慣や環境が大きく影響するため予防が重要です。

遺伝と環境のバランスが、病気の発症に影響しますね。

多因子疾患とは、高血圧、心筋梗塞、糖尿病、気管支喘息など、多くの人が罹患する病気であり、単一の遺伝子ではなく、複数の遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って発症します。

量的形質と質的形質が関与し、遺伝要因の数が増えるほど、量的形質の値は正規分布に近づきます。

遺伝的要因と環境的要因のバランスが、疾患の発症に大きく影響を与えるため、個々の患者の状態を正確に理解し、適切な対策を講じることが重要です。

第1度近親者は、遠縁の近親者よりも疾患リスクが高く、高血圧症、冠動脈疾患、2型糖尿病、がん、口蓋裂、関節炎などが多因子遺伝の代表例です。

多因子疾患の原因が複雑で、研究が難航しているとのことですが、今後の研究の進展に期待したいです。

ストレスが世代を超えて遺伝するメカニズム

ストレスが世代を超えて遺伝するメカニズムについて、最新の研究を紹介します。

理研、親のストレスは配列の変化を伴わずに子どもに遺伝

公開日:2011/06/24

✅ 理化学研究所の研究により、ストレスによる遺伝子発現変化がDNA配列の変化を伴わず、エピジェネティクス的に親から子へ遺伝するメカニズムが解明された。

✅ ショウジョウバエを用いた実験で、転写因子dATF-2が熱ストレスなどによりリン酸化され、ヘテロクロマチン構造が弛緩することで遺伝子発現が変化し、その状態が子どもに遺伝することが明らかになった。

✅ この研究成果は、ストレスがエピジェネティックな遺伝に与える影響を理解する上で重要であり、二世代にわたるストレスの影響は孫にも遺伝する可能性があることが示唆された。

さらに読む ⇒受験や進路・進学情報の教育ニュースは「リセマム」出典/画像元: https://resemom.jp/article/2011/06/24/3027.html

ストレスが遺伝子発現に影響を与えるとは驚きです。

特に、エピジェネティクス的な遺伝の仕組みは興味深いですね。

理化学研究所の研究チームは、ストレスがエピジェネティックなメカニズムを通じて親から子へ世代を超えて遺伝することを発見しました。

ショウジョウバエを用いた実験で、熱や浸透圧ストレスによって転写因子dATF-2がリン酸化され、ヘテロクロマチン構造が弛緩し遺伝子発現が誘導されることが明らかになりました。

この状態は子供に遺伝し、親特有のストレスの影響は子供にのみ遺伝しますが、二世代にわたるストレスは孫にも影響を及ぼす可能性が示唆されました。

背景として、DNA配列の変化を伴わないエピジェネティクスがストレスの影響を次世代に遺伝させるメカニズムとして注目されています。

ストレスが世代を超えて遺伝する可能性があるなんて、初めて知りました。エピジェネティクスの研究はとても興味深いです。